そのテーマ捨てないで!研究テーマを決める方法
暖かくなってきたと思ったら、急に寒くなり、気持ちも意味もなくどよーんとしているなすこんにゃくです。
皆様は気候の変化で体調を崩されていないでしょうか?
最近気づいたのですが、”看研かあさん”というブログなのに、看護研究に関する記事がほとんどないので、今日は”研究テーマを決める方法”について書きたいと思います。
なすこんにゃくは研究の基礎を全てオーストラリアの大学で学びました。
確かに看護専門学校やその後の看護師3年目あたりでも院内研究しましたが、
まったく研究の意味がわからない
やる意味もわからない
ただ何かやって時間が過ぎればいい 状態でした。
なので、本当に苦痛でした。
研究の知識「ゼロ」の状態で留学し、避けられない研究科目を学部・修士課程でとり、血を吐くような思いで勉強いたしました。。
苦手な奴でも、素性を知れば知るほど興味が湧き、好きになっていくってやつでしょうか。
そんななすこんにゃくが考える研究テーマを決める方法について、シェアしていきたいと思います。
研究テーマとは何か?
実は、留学先では研究テーマとは呼んでいません。
その為、国内の大学院に入った時に一瞬「?」でした。
オーストラリアではトピック(Research Topic)と呼んでいます。
研究テーマ/トピックは研究する分野のことを指します。最初から具体的にする必要はありません。
研究テーマを決める時には、すでに大まかなことは決まっているはずです。
例えば、院内の研究の場合・・・
消化器外科病棟(成人)で勤務されているのであれば、研究テーマは成人の消化器疾患に関するものになるでしょう。
小児科病棟で勤務されているのであれば、病を患う18歳未満の子ども達に関するテーマになるでしょう
もちろん患者さんだけではなく、家族や医療関係者、または人物ではないものが対象となることもありますが、対象となる場はほぼ決まっているはずです。
学部課程や修士課程などで研究をする場合・・・
学部生は興味のある分野(成人看護・老人看護など)を決めなければなりませんが、修士課程にいる方たちはすでに特定の看護分野に所属して学んでいるはずです。
老人看護であれば、高齢者を対象にしたテーマ、訪問看護であれば在宅を焦点にあてたテーマになります。
当たり前のことを書いてしまって、すみません。
でも、まったく白紙といいますか、ゼロからテーマをみつけるわけではないということをお伝えしたかったのです。
印象に残っている場面や疑問を書き出す
大まかに研究対象となる場(環境)を再確認した所で、過去の経験で良くも悪くも印象に残っている場面や”これってこれでいいんだっけ?”という疑問を書き出してみることをお勧めします。
例えば、
A:「胃がんを患わっていた患者Aさん、ナースコールが頻回で大変だった」
B:「眠れないと訴える患者さんが多いけど、睡眠導入剤を渡すだけでいいのかなあ?」
等々、書き出してみることをお勧めします。
どんどん出てくると思います!
ブレインストーミング(Brainstorming)してみる
印象に残っている場面や疑問をリストアップし、そこから興味のあるものを1~3つぐらい選び、ブレインストーミング(Brainstorming)することをお勧めします。
ブレインストーミングは視覚的にアセスメントするものなので、決められた書き方は特にありません。
自由に「なぜ」そのような現象が起きたのか・その時「どうしたら」よかったのか・これから「どうしたら」良いのか・こういった現象は「どのような結果を招く」のかと、主になすこんにゃくは考えながら描いています。
上のブレインストーミングは、あくまでもなすこんにゃくが3分ぐらいで書いた例です。自由にどんどん書いて○を増やしていってください。
もうこれ以上、思いつくものはないかなあ。と気持ちがスッキリするまで描いたら、コーヒーやお菓子でも食べながら、ふっとそのブレインストーミングを眺めてみて下さい。
「これって一番重要なことなんじゃない?」
「この部分があんまりよくわからないなあ。でもこれってすごく看護する上で必要なんだけど・・」
という所が出てくると思います。
その部分を○で囲んで、文献検討してみます。
先行研究・書籍を主に調べて読んでいきます。
読んでいくとどんどん知見が広がり、理解が深まります。
そして、また「じゃあ、これってどうなんだろう??」と、他の文献も読んでいくうちにテーマが焦点化していきます。
その時点でもう、あなたの研究テーマはだいぶ決まっています。
例Aで、”精神的苦痛に関する文献”を熱心に読んでいるのであれば、
研究テーマは「胃がんを患う患者さんの精神的苦痛について」です。
例Bで、”足浴が睡眠を促すのかどうか”と、過去の研究を読んでいるのであれば、
研究テーマは「不眠を訴える患者さんと足浴について」です。
ダメな研究テーマなんてない
これはなすこんにゃくの持論ですが、意味のない研究テーマなんてないと思っています。
あなたが興味のある+重要だと思っている+疑問に思う所はとても大切なものであり、臨床に必要なものです。
社会は結構なんでも数字で決められています。
例えば「帝王切開で出産した80%の人が術後1週間で創部痛が緩和され、鎮痛剤の服用が必要でなくなった。」という先行研究を読んでどのように思われますか?
a:「術後1週間で創部痛のコントロールができ、日常生活に支障なく生活できている」
b:「術後1週間で鎮痛剤が必要にならなくなったけど、創部痛のコントロールができ、日常生活に支障がないとはいいきれない」
c:「20%の人は創部痛があり鎮痛剤を服用し続けているというのは、どういうことなのだろう?」
みなさんは上の3つの内、どちらの考え方に近いですか?
どちらかというと、
社会は a:「術後1週間で創部痛のコントロールができている」という考え、つまり割合が多い方に注目されがちで、疼痛コントロールの意味を掘り下げて追及したり、20%の人達が痛みと共に生活をしているということをネグレクトしてしまいがちです。
(これは、あくまでもなすこんにゃくの主観ですが・・)
人々の関心が多い=研究テーマに適しているわけではないと思います。
1%でも、ある疾患や環境で苦しんでいる方がいたら、研究でその原因や現象を明らかにし、解決・改善策を提示していくべきものだとなすこんにゃくは考えます。
なので、「このテーマだめだ・・・」と変えてしまう前に、ぜひ研究の必要性を熱く研究の背景(Background)に書き綴ってください。
「先行研究が少なくて・・」というのは、立派な研究の必要性です。
ちなみに、研究テーマは詳細化する必要はありません。
あくまでも私の経験上では、研究する方向性なり・分野であり、人に「○○について研究してるよ」と言うぐらいなものです。
研究論文を書くとき・ジャーナルに投稿する時に研究テーマを書く所はありません。
研究タイトルと目的は研究テーマではありません。
研究目的は一番大切な所で、目的を変えることは何度もあると思いますが、テーマを変える必要はありません。
もし、どうやってテーマを焦点化しようか・・と考えていらっしゃるのであれば、それは研究目的を考えている領域に入っているのかもしれません。
肩の力を抜いて、ぜひ関心のある事柄を研究のテーマにして下さい。
あなたの研究論文を読むのを心待ちにしている人は必ずいます☆
ここまで読んでくださってありがとうございます。