看研かあさん

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「研究失敗かな?」から良い研究成果につなげる方法

意外にも抹茶のお菓子がオーストラリアの人に好評で、ちょっと嬉しくなったなすこんにゃくです。こちらはロックダウン中ですが、人とのコミュニケーションって大事ですね。

 

さて、前回は英語の研究論文のクリティーキングについて少しお話しましたが、そこで論文の信頼性(エビデンス)レベルについて少し触れました。

せっかく時間とお金をかけて研究するんですから、研究成果を挙げ、尚且つその成果が信頼性の高いものにしたいと思うのは当然のことです。

 

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私は過去に質的研究をしたのですが、対象者がなかなか集まらず、「最低限この人数までは集まらないと質的研究の信頼性が低くなってしまうなあ・・・」と不安でした。

 

結果、なんとか目標数に達することができて、「はああああ~」とため息をつきつつ、ガッツポーズしたのを覚えています。

 
 
しかああし!!
今日、システマティックレビューをしていて、素晴らしい研究論文を見つけました!あんまりにも良く書かれているので、何度も読み返し、保存しました(笑)

 

この論文は脊髄損傷で入院してきた患者さんの褥瘡をなんとか予防できないかと、プログラムを立案し、それをランダム化比較試験で有効性を検証する研究だったんです。対象者は褥瘡がない脊髄損傷の患者さんで、そのプログラムは患者さんが退院する直前に導入し、退院後もフォローアップしていくという内容でした。

 

残念ながら、結果は対象者がなかなか集まらず、目標人数に達せずに研究がどんどん長引いてしまったので、打ち切りとなったという論文なんです。理由は脊髄損傷の患者さんが褥瘡を患ったまま退院となっているケースがほとんどだったからです。

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ランダム化比較試験は最も信頼性(エビデンス)レベルが高い研究ですが、すごくコストがかかります。

 

そこで、予備調査(pilot study)もしていたんですが、この研究はこのような結果になってしまいました。

 

 
 
でも、ここからがすごいんです!!

 

実際にプログラムを導入した対象患者を含め、脊髄損傷の患者さんの特徴を分析し、研究デザイン、及びプログラム内容の良い所と改善点をエビデンスを用いて分かりやすく書かれているんです。
これなら、今後同じトピック/分野で研究しようとしている人や実際に臨床でケアをしている人たちにとっても参考になります。

実際に、論文投稿できているわけですが、その理由が納得できるものでした。

これこそ「研究失敗?」から良い成果を挙げることができたと言えるのではないのでしょうか?

 

それでも、この研究者の方々は対象者集まらなくてすご~く焦ったんじゃないかな。。と思いますが、ここまで分析して書けるというのはすごい精神力です。

自分もここまで書けるような研究者になりたいと思った一日でした。

 

引用文献として下に記載しましたので、興味のある方は検索してみて下さい。

タイトルをコピー&ペーストして検索すると論文にアクセスできます。

 

<引用文献>

Guihan M, Garber SL, Bombardier CH, Durazo-Arizu R, Goldstein B, Holmes SA. Lessons learned while conducting research on prevention of pressure ulcers in veterans with spinal cord injury. Arch Phys Med Rehabil. 2007 Jul;88(7):858-61. doi: 10.1016/j.apmr.2007.03.014. PMID: 17601465.